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更新案内&管理人の日常光景です
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「アニキ!」
 唐突にサニー号に接近してきた海賊船を眺めていたゾロの口から嬉しそうな声が響き、その内容に臨戦態勢だったクルーたちは一応に驚いた顔をして動きを止めた。
「アニキ?」
「んん??アニキ?」
 星の刺青のある大きな腕を自分に向けたフランキーの問いかけに、その横で武器を構えていたウソップがフランキーを眺めながら首を傾げる。
「アニキ!いつこっちに来てたんだ!」
 徐々に近付いてくる海賊船に向かってやはり嬉しそうな声を上げたゾロに、ナミは手にしていた天候棒を降ろし、胸の前で両腕を組んだまま同じように困惑した表情のロビンへと顔を向けた。
「アニキって・・・フランキーじゃないわよねえ?」
「ええ、そうね、ナミちゃん。ゾロはフランキーの事をアニキと呼んだことはないもの。ウソップやチョッパーと違って。」
 美女二人が顔を見合わせて困ったように近付いてくる海賊船を見つめている頃、麦わら帽子を片手で押さえ、ワクワクと戦いの準備に心を躍らせていた船長が歩いてきたコックに向かって首を傾げた。
「エース・・・なわけねえよなあ。」
「そんなわけあるか。」
 指で煙草を挟みとりハア~と深く煙を吐き出したサンジはブンブンととうとう、近付く海賊船目掛けて片手を降り始めたゾロの姿に困惑を隠せない。目を輝かせ嬉しそうに笑う姿は歳相応というよりは遥かに子供っぽく幼く目に映る。それは普段のゾロの姿からとてもじゃないが想像できない姿でなんというか見てはいけないものを目にしているんじゃないだろうかとウロウロと視線を彷徨わせてしまう。
「ヨホホホ~。おや?皆さん、どうされました?」
 展望台にて敵船の接近を知らせたブルックは甲板に足をつけるなり妙な空気に包まれたクルーの様子にカクリと首を傾げた。麦わらの帆を上げたサニー号に接近してくる海賊船はこの船よりも遥かに大きいが、ただそれだけでこのクルー達が怯むところなど今まで一度だって見たことがない。
 海流に乗り走るサニーにぴったりと併走させ始めた海賊船の甲板には大勢の海賊たちの姿が見える。
「久しぶりだな、ゾロ。」
「アニキ!」
 ひらりと、風に乗るかのような軽やかさでサニー号に降り立った男にゾロが嬉しそうに駆け寄り抱きつく。その背をしっかりとした日に焼けた腕が抱き返し、その男は先程まで自分が乗っていた海賊船に向けて軽く手を上げた。
「わざわざ送ってもらって悪かったな。船長によろしく言っておいてくれ。」
「アニキ。用があったら俺らに声かけてくだせえ!」
「そうですぜ、海賊になるんだったらいつでも俺ら大歓迎ですから!」
「ああ・・考えておく。」
「絶対!絶対ですぜぇーーアニキィーー!」
 オーイオーイと甲板で涙を流しながら、徐々に遠ざかっていく海賊船に向かってもう一度だけ大きく手を振り返した男は目の前で揺れたピアスを宿した耳朶にチュッと小さな音を立てて口付ける。
「「あああああ!!」」
 途端に周囲で上がった絶叫混じりの男の悲鳴にゆっくりとその顔を向けた。
 緑の短い髪に翡翠のような瞳の色。ゾロとそっくりなその男は周囲を囲むクルーを見渡しニヤリと片頬を上げて見せたのだった。
「ウチの弟が世話になってる。」


「「「「おとうとぉ?!!」」」」


 キイィィ・・と、少し掠れた音がして甲板へと続く扉が開いた。
 戦闘に加わらず、医務室に篭っていたチョッパーが静かになった甲板へとその姿を現したのだ。
 ポチョポチョポチョと少し間抜けな音を立てて絶叫を上げて固まったクルーと、突然現れゾロの兄だと名乗った男と、その男に抱き着いているゾロの間をチョッパーが通り過ぎていく。
「あれ?ゾロが二人いるぞ?」
 きょとんと見上げて問いかけてきたチョッパーに、男はしばらく世話になると言って楽しげに笑ってみせたのだった。




~END~
-----------
Sさんのメモ描きに萌えたので(笑
双子Zも楽しそうだなあとw
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拍手ありがとうございます。
物凄く元気頂きました(^^
ありがとうございましたw

>10/10 2:02のお客様☆
日記小話、気に入っていただけで嬉しいです。
いただいたメッセージがあまりに嬉しかったので、昨夜続きを書いて見ました(^^
楽しんでいただければ嬉しいです。
本当に素敵なメッセージありがとうございました(^^

 自然に目はそれは惹きつけられ、ゾロは逆らうことなくふらふらと足を進めその正面で立ち止まった。
「いらっしゃいませ~。」
 立ち止まったゾロを客だと判断した少女がにこやかに笑いかけてくる。それにしまったと思ったのもつかの間、やはり立ち去りがたく見つめてしまうそれにゾロは未練たらたらだった。
「綺麗でしょ?」
 にっこり笑いながら桶に突っ込まれている黄色を一本ゾロへと差し出してくる。それを戸惑いながらもつい受け取ってしまったゾロは惹き込まれる様に目の前の色の洪水へとかすかな溜め息を零した。
赤に黄色、オレンジにピンク。淡い色合いのものもあれば原色と言ってもいいような目に鮮やかな色を持つ花達が水を張った桶の中からゾロを見つめてくる。
「ガーベラって言うんだよ、お客さん。」
 商店街の中央にある噴水広場。その一角に花を入れた桶を置いて店を開いていた少女は熱心に眺めるゾロに楽しそうに教えてくれる。
 ガーベラという名前は知らなかったがこの花は旅の途中で何度か見かけたことがあった。
 ただ、その時はただの花だとしか認識していなかったこれを見た途端、ゾロの脳裏に浮かんだのは港に停泊中の船に残っているコックの姿だった。
 似合うだろうな・・と、ぼんやりとこの花を抱えて笑うコックの姿を想像してしまったのだ。
「誰かにプレゼントしたいの?」
 財布を取り出すでもなく、受け取った黄色のガーベラを手に熱心に花を見つめるゾロに少女が首を傾げて問いかけてくる。その質問にゾロは一瞬眉を寄せ、ハアッと深い溜め息を吐き出した。
 確かにこの花を持って嬉しそうに笑うコックを見てみたいとは思うが、花をプレゼントして相手が喜ぶかどうかは別物だ。怪訝な顔をして、とりあえず受け取ってやるという態度のコックが見たいわけではない。
「お金ないの?」
「ああ・・・。」
 少女の問いにゾロは苦笑混じりに先程受け取った黄色のガーベラをそっと少女に差し出す。
 船を降りたばかりで手持ちの金がまったくないというわけではなかったが、花を買うと予定外の出費になるのは分かりきったことだ。
 ただ、これを両手に抱えて嬉しそうに笑うコックが見たいというだけで・・・。








「・・・・これ・・・。」
「テメェにやる。・・・・・・・似合う・・・から。」
 両手一杯。赤に黄色にオレンジにピンク。綺麗な花びらを丸く開いて咲き誇る花束を出迎えた男に強引に押し付ける。晴れ渡った青空のような瞳が丸く開かれた。



「・・・・・・・・・・、ありがとう、ゾロ。」


 頬をかすかに赤く染め、嬉しげに花束を抱きしめて笑った恋人の姿にゾロは眩しげに目を細めて笑い返したのだった。




~END~

*******

『 好きって言ってみな 』 side ゾロ バージョン

10/7と10日 にメッセージをくださった貴方に(^^
メッセージとても嬉しかったです。ガーベラが好きという偶然にも感謝して、少々イチャイチャ度追加してみました。楽しんでいただければ嬉しいです(^^

えーどうにもこうにも昨日、嫌な・・と、いうか腹立たしい出来事がありまして、もー日記でもデモ叫ばないと血圧が上がりすぎてぶっ倒れそうなので、叫ばしてください(TдT)
愚痴は聞きたいくないわーって方は本日の日記はスルーでお願いします・・・。






 

 ハラハラと風に乗って降りかかった薄いピンクや黄色の花びらにナミは頭上を振り仰いだ。
「・・・・どこから?」
 ライスシャワーならぬフラワーシャワー。楕円形の細い花びらがひらひら、ひらひらと風にのって飛ぶ姿は綺麗なのだが、それが頭上からというのは解せない。なにせ、現在ナミが歩いている場所は教会の近くではなく、港の、詳しく言うなら自船が泊まっているその真下なのだ。
「?・・・・サンジ、く、ん??」
 太陽が眩しいと目を細め、その輪の中でキラリと光を反射してみせた人物にナミは眉を顰める。
 しまった帰ってこなきゃ良かったと心の中で溜め息を零してみるものの、両手いっぱいの荷物を持ったままもう一度商店街へ繰り出すつもりはない。素早く部屋に行き、荷物を置いて立ち去れば大丈夫かと出来るだけ静かにサニー号へと乗り込んだ。
「お帰りなさい、ナミさん。」
「・・・・・・・・・・ただいま。」
 ああ、やっぱり見つかっちゃった・・と、引き攣った笑みを返してナミは笑顔で両手いっぱいの花束を抱えている人物に返事を返す。
 ピンクに黄色、赤にオレンジ、ガーベラの花束を抱えた金髪コックはその姿と相俟って本人が形容するプリンスに相応しい立ち姿だ。
「早かったんですね。」
 にっこりと笑みを向けてくるサンジにナミはええとだけ返して、さっさとこの場を立ち去ろうと背を向ける。そんなナミに慌てたように駆け寄ってきたサンジはやっぱり両手にいっぱいの花を抱えていて、一部花びらが欠けた花を見つけ、先程のフラワーシャワーの正体はやはりこれかとナミは小さく息を吐き出す。
「荷物お運びしますよ。」
「・・・・・・・・・・・その両手で?」
 いつものようにナミの手から荷物を受け取ろうと声を掛けてきたサンジにナミはつい呆れたような声を出してしまう。思わず口にしてしまったのだが、ああしまったとナミはサンジの顔に浮かんだ表情に遠慮なく溜め息をついてみせた。
 恥らう乙女もかくやとばかりに大の男がほんのりと両頬を染めてみせたからだ。
「あら、そういえばゾロは?」
 ここまでくれば毒を喰らわば皿までと自虐的に甲板に見当たらない男の名前を出してみる。
「あ、・・・あいつはですねぇ・・。」
 頬を染めたまま、大事そうに腕の花束を見つめたサンジにナミはやっぱり聞かなきゃ良かったかもと深い後悔の溜め息をつく。
「俺にこれをくれてから。今は展望室でトレーニングを・・・。」
 そう貴方の愛おしいダーリンはあの上なのねとナミはチラリと頭上を見上げる。本当にトレーニングをしているのかそれとも邪魔の入らない惰眠を貪っているのかは分からないが、この気色悪いコックを作り上げた男はあそこなのねとナミは舌打ちの一つもしたいところだった。
「似合うって・・・それであいつが。」
 なにやらつらつらとサンジが話していたのだが、軽く流していたナミは続けて言われたサンジの言葉にはああ~と大きな溜め息をついた。
「花びら占いが好きで終わったらアイツからキスしてくれるって約束してくれて。」
「・・・・・サンジくん・・・・。」
 頬を染めてキスを・・というサンジとその両手の花束を見比べてナミは哀れみの視線を送る。
 キスどこかアンナコトやコンナコトを平気で皆に隠れて行いながら、キス一つでゾロに自由を与えるなんて、可愛くて馬鹿な男とナミは心の中で呟くと当初の目的どおり荷物を持って部屋へと向かう。
「アタシなら最初の一本だけ使って、あとは飾っておくけど。」
 ドサドサとベッド脇に荷物を放り出して、皺になりそうな服を取り出してはクローゼットに掛けていく。その際にポロリと口から漏れた感想にナミは苦笑を浮かべた。
 なにもゾロは全部の花を使って占いしろといったわけではないのだろうし、それを勝手に全部だと思い込んだのはサンジの都合だ。
「まあ、いいんだけど。」
 最後の花びらが『キライ』で終わった場合、どういう経由でプレゼントしたのかは不明だがせっかくのゾロからの花束をすべて花びらに変換してしまったサンジはどうするだろう。
「晩御飯、食べて帰って方がいいかもね。」
 その時のサンジの落ち込みようが容易に想像できて、ナミは手持ちのお金に食事代をプラスしていく。あと一時間もしないうちにロビンとカフェで待ち合わせをしているから、一緒に夕食を食べて帰ろうと小さな鼻歌を歌う。女の子二人で男たちの不憫な姿を想像しながらイチャイチャするのも楽しいかもしれないと笑う。
「いってきまーす。」
 身軽になったナミは頭上から降り注ぐ色とりどりの花びらに軽く手を振ると軽い足取りでもう一度商店街へとくりだしたのだった。









 そして数時間後。
 女の子だけの楽しい時間に満足しつつサニーに帰ってきたナミとロビンを迎えたのは涙まじりの男たちの絶叫だった。

『 腹減ったーー!! 』



 本日のメニュー

・ ロールパン 1個
・ 氷を浮かべた水 1杯




~END~

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10/7 拍手メッセージをくださった貴方に捧ぐ



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