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 自然に目はそれは惹きつけられ、ゾロは逆らうことなくふらふらと足を進めその正面で立ち止まった。
「いらっしゃいませ~。」
 立ち止まったゾロを客だと判断した少女がにこやかに笑いかけてくる。それにしまったと思ったのもつかの間、やはり立ち去りがたく見つめてしまうそれにゾロは未練たらたらだった。
「綺麗でしょ?」
 にっこり笑いながら桶に突っ込まれている黄色を一本ゾロへと差し出してくる。それを戸惑いながらもつい受け取ってしまったゾロは惹き込まれる様に目の前の色の洪水へとかすかな溜め息を零した。
赤に黄色、オレンジにピンク。淡い色合いのものもあれば原色と言ってもいいような目に鮮やかな色を持つ花達が水を張った桶の中からゾロを見つめてくる。
「ガーベラって言うんだよ、お客さん。」
 商店街の中央にある噴水広場。その一角に花を入れた桶を置いて店を開いていた少女は熱心に眺めるゾロに楽しそうに教えてくれる。
 ガーベラという名前は知らなかったがこの花は旅の途中で何度か見かけたことがあった。
 ただ、その時はただの花だとしか認識していなかったこれを見た途端、ゾロの脳裏に浮かんだのは港に停泊中の船に残っているコックの姿だった。
 似合うだろうな・・と、ぼんやりとこの花を抱えて笑うコックの姿を想像してしまったのだ。
「誰かにプレゼントしたいの?」
 財布を取り出すでもなく、受け取った黄色のガーベラを手に熱心に花を見つめるゾロに少女が首を傾げて問いかけてくる。その質問にゾロは一瞬眉を寄せ、ハアッと深い溜め息を吐き出した。
 確かにこの花を持って嬉しそうに笑うコックを見てみたいとは思うが、花をプレゼントして相手が喜ぶかどうかは別物だ。怪訝な顔をして、とりあえず受け取ってやるという態度のコックが見たいわけではない。
「お金ないの?」
「ああ・・・。」
 少女の問いにゾロは苦笑混じりに先程受け取った黄色のガーベラをそっと少女に差し出す。
 船を降りたばかりで手持ちの金がまったくないというわけではなかったが、花を買うと予定外の出費になるのは分かりきったことだ。
 ただ、これを両手に抱えて嬉しそうに笑うコックが見たいというだけで・・・。








「・・・・これ・・・。」
「テメェにやる。・・・・・・・似合う・・・から。」
 両手一杯。赤に黄色にオレンジにピンク。綺麗な花びらを丸く開いて咲き誇る花束を出迎えた男に強引に押し付ける。晴れ渡った青空のような瞳が丸く開かれた。



「・・・・・・・・・・、ありがとう、ゾロ。」


 頬をかすかに赤く染め、嬉しげに花束を抱きしめて笑った恋人の姿にゾロは眩しげに目を細めて笑い返したのだった。




~END~

*******

『 好きって言ってみな 』 side ゾロ バージョン

10/7と10日 にメッセージをくださった貴方に(^^
メッセージとても嬉しかったです。ガーベラが好きという偶然にも感謝して、少々イチャイチャ度追加してみました。楽しんでいただければ嬉しいです(^^
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