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更新案内&管理人の日常光景です
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 目覚めた瞬間に恋人の顔を見たいと望むのは贅沢な悩みなのだろうかと、今朝もまた一人で目覚めた倉庫の片隅で毛布に包まったままサンジは溜め息をついた。



 朝の眩しくも冷たい光に目を細めながら扉を開き、サンジは一歩外へと足を踏み出す。
「よ、おはよう」
「……ああ」
 すでに眠気は去っていたが大きく欠伸をひとつして、首の後ろを片手で撫でると、サンジは甲板に立ち鍛錬を始めていたゾロへと声を掛けた。
「すぐに朝飯出来るから寝るなよ?」
「わかってる」
 昨夜ともに抱き合って眠ったはずの相手からのそっけない返事に苦笑を浮かべてその目の前を通り過ぎ、ゆったりとした足取りのままに階段を上っていく。毎朝のやりとりとはいえ本当にそっけないゾロの態度に最初の頃は凹んだりもしたが、こんなもんだと今は諦めの気持ちのほうが強い。ゾロ相手に普通の男女のような恋人らしい馴れ合いを期待するほうが間違っているのかもしれない。
「あっ! しまった…」
 階段途中で思い出したとサンジは慌てて振り返り、バチリと音がしそうなほどに絡み合った視線にパチパチと思わず瞬きを繰り返した。
「……なんだ?」
 そんなサンジの様子にほんの少し眉をしかめて先の言葉を促してきたゾロに、ああ、とサンジはもう一度小さく口の中で繰り返すと一段、階段を甲板へと向かって下りる。
「煙草…、あそこに忘れてきちまった…と、思って」
 ゾロに答えながらサンジは胸ポケットを軽く指先で探ってみせた。
「……そうか…」
「ああ……」
 その答えに興味をなくしたのか、フイっと視線を反らして手に持っていたダンベルを上下させ始めたゾロにサンジは苦笑して、ゆっくりとした動作で先ほど出てきたばかりの倉庫を目指す。ほんの一瞬だけゾロの視線が自分に向けられたような気がしてそっと振り返ったサンジは黙々と腕を上下させているゾロの姿に気のせいかと苦笑を浮かべながら扉を押し開いた。
「……ええっと、確か…、この辺か?」
 昨夜の記憶を辿りつつ、サンジは先程毛布を隠した樽の隙間を覗く。
 キッチンで機嫌よく飲んでいたゾロを倉庫に誘って、その扉が開くのを待ち切れずにその唇に咬み付くようなキスをした。
 キスはゾロが飲んでいたラムの味がして、欲情した時にゾロから立ち上る濃い花の蜜のような香りと相まってキス一つでサンジをたまらなくさせた。扉に押しつけるようにして唇を味わい、味わいながらその服を毟り取るようにして剥いで、あらわれた日に焼けた肌に匂い立つような色香を感じて眩暈さえ感じた。
「…あ、れ? おっかしいな?」
 バサバサと毛布を振り、樽の隙間を覗き込み、サンジは首を傾げた。
 夢中になって互いを弄ったのは記憶にある。サンジがゾロの服を脱がしながらキスを仕掛けている間にゾロの手がサンジのスーツを剥ぎ取り、ネクタイに指を潜らせたのは確かに記憶にあるがその時にでも煙草が落ちたのかと思い出そうとしてもさっぱり記憶には残っていない。荒く吐き出された息だとか、熱に色を変えた緑の瞳だとか、唇の間から誘うように覗いた赤い舌だとかははっきりと思い出せるのにその時に服をどうしたかなんて覚えていないのだ。そのあと、床に落とした毛布に二人して縺れ合うようにして抱き合い倒れた時には互いの上半身は裸だったから、その前に脱がせた時に弾みで落ちた可能性は高い。
 サンジはグルグルと樽の間を覗き込んで眉をよせるとひとつ溜息を零した。
 昼間でも薄暗い場所なのだ。早朝のまだ光の届かない暗い部屋では小さな煙草の箱ひとつ、積み上げられた木箱の間にでも落ちてしまっていればそう簡単には見つからないだろう。
「……しょうがねえか」
 早朝だ。朝早くから倉庫で不要な物音をたてて他のクルーを起こしてしまうのは可哀そうだと思うし、探し物の理由を聞かれたら返答にも困ってしまう。
 小さく呟いてサンジはひとつ苦笑を漏らすと、手にしていた毛布を先ほどと同じように樽の間に隠して、倉庫の扉を開いた。
「ほら」
「!!?」
 扉を開くとすぐに飛び込んできた緑の頭髪と、その腕が差し出している煙草の箱にサンジは驚いたように息を吸い込む。そんなサンジの態度にかすかにゾロの首が傾げられ、整った眉がゆっくりと顰められた。
「え? これ、どこにあった?」
 差し出されたままのゾロの手と、その手が掴む煙草を見つめながらサンジは思わずといったふうに問いかける。
「キッチン」
「はっ?」
 ゾロの答えにサンジは間抜けな声をあげると頭をあげ、やはり眉をしかめたゾロの顔に出合って瞬きを繰り返す。封の開いたそれは確かにサンジのもので押しつけるようにして渡してきたゾロから受け取ってまた一つ首を傾げる。
 確かに昨夜片付けを終えてキッチンで煙草を吸おうと思ったところまでは記憶がある。確かそのあとすぐにゾロが来て…と記憶を辿り始めたサンジに背を向けてゾロの後ろ姿が遠ざかっていく。
「あ……マジかよ」
 そう、昨夜は煙草を吸おうとして、そこにゾロが現れたから、なんとか倉庫まで誘おうとそちらに意識が行ってしまい、テーブルの上に煙草の箱を置いたままになってしまったのだ。そんな簡単なことまで覚えていないなんてどれだけ俺はがっついてたんだと顔を赤くしながら手渡された煙草を見つめる。
 そして遠ざかっていくゾロの後ろ姿へと目をやってサンジはカリカリと指先で鼻の頭を引っ掻いた。
 いつもよりゆっくりとした動作で歩いているような気がするのは気のせいではないのだろう。
「あー……、ゾロ、ごめん」
 思わずといったふうに漏らしたサンジの言葉にピクリと肩を揺らしたゾロの脚が止まりかけ、また進み始める。ピアスの揺れるその耳がうっすらと赤くなって見えるのは気のせいではないだろう。
 朝目覚めると必ず居なくなってしまっている恋人は抱き合ったことが照れ臭くていたたまれないのだろう。
「………謝んな……」
 先ほどと同じようにキッチンへの階段を上りかけ、背後から聞こえた小さな呟きにサンジは煙草を咥えていた唇を歪める。その声はサンジと抱き合うことが嫌だとは微塵も言っていない。
「すぐに朝飯だ。待ってろよ」
「……ああ」
 キッチンの扉に手をかけてにこやかにゾロに宣言して我が城へと踏み入り、サンジはへらりとだらしない笑みを浮かべた。
「あの不器用者め」
 昨夜の記憶がぶっ飛んでいるサンジにゾロと抱き合う前のキッチンの記憶はほとんどない。ならば洗い籠に伏せられた水滴の滴る皿も、不格好に置かれたテーブルクロスもゾロの仕業だ。目覚めたゾロが一番に向かった場所がキッチンというところに愛を感じるなあとサンジはこっそりと笑う。そしてこちらが出てくる気配を察知してゾロが慌てて甲板に戻ったのだろうということも容易に想像がついた。
「朝飯はまりもの好きな和食だな」
 クククと小さく笑いを漏らしながらサンジはエプロンを取り上げて朝食の準備にかかる。その時に汚れては悪いとシンクの傍に立てかけてあったゾロの大切な相棒たちをそっと移動させる。
 慣れないキッチンの片付けをこなし、しかもそのあとに覗いた時も刀の存在を忘れて煙草をだけを持って行ったゾロに愛されていると思って浮かれても仕方ないだろう。
 きっと、もう少しサンジに愛されることに慣れてくれれば抱き合ったまま目覚めるのも夢ではないのかもしれない。
 幸せな気分にプカプカとハートの煙を吐き出しながら、サンジは甲板で動揺も隠せずひたすらダンベルを振っているだろうゾロの姿を想像して、とびっきり美味い朝食を用意してやろうと包丁を握る手に力を込めたのだった。

 

END~

********
小話です(^^

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 チクチクと背中に刺さる視線にサンジは溜め息を零して振り返った。
 途端にパッと逸らされる目線。やれやれ、いったい何がしたいのだと問いかけても別にとそっけない返事が返ってくるだけで、無言で酒瓶を咥えるゾロから理由は聞けそうになかった。
「よし!終了!」
 最後の皿を拭きあげて、棚にしまってクルリ振り返る。
「あっ・・。」
 バチッと派手な音がしそうなほど視線が絡み、慌てたようにゾロが顔を伏せる。その顔が一瞬だけだが、赤く染まっていた気がして、サンジはおやっと首を傾げた。
 好きだ愛してるお前だけだ、・・と、アピールを始めて一週間。始めは鼻で笑っていたゾロも、最近では溜め息を着くだけで、こちらを無視するようなことはなくなってきていた。告白当初はからかっていると思われていた様で、警戒もされなかったのだが、最近はほんの少し意識しているのか、サンジが傍にくると決まって少し身体を強張らせるのだ。
「えーっと、ゾロ?」
 ゆっくりと出来るだけ怯えさせないように近付いて、サンジはゾロに近付く一歩手前で足を止めた。
「・・・なんだ?」
 ぶっきらぼうに、視線をテーブルへと落としたまま聞いてくるゾロにうわあ~と心の中で感動しながら、これだけ反応をしてくれるというのは、たぶん、ゾロの気持ちが自分に向いてきているのだろうと、にやけそうになる口元を引き締める。
「まだ、飲むか?」
 いつもより進んでいないようだったが、それでもゾロが手にしている酒瓶の中の残りなど大して残ってはいないだろう。特別いい酒を用意したわけではないが、今夜は特にその味なんて分からなかったんじゃないだろうかと触れればきっと熱いだろう肌の色に目を細める。
「・・い・・・いや、いい。」
 ゾロにしては歯切れの悪い答えを返し、視線をテーブルに這わせた後、何を思ったのかサンジへと向けられた綺麗な翡翠にサンジは小さく喉を鳴らした。
 本当にまっすぐな瞳なのだ。一瞬でも逸らせば二度と見ることの出来ない輝きをその瞳に見つけて、サンジはいつだってその翡翠から視線を逸らせなくなる。意志の強い、その眼差しに絡めとられるのは凄まじい優越感もある。
「・・・あ・・・あの・・な?」
「んっ?」
 その強い瞳がかすかに揺らいで、サンジの顔を見つめてパクパクとその唇が意味も無く動く。思わず小さな子供にするように笑いかけて、促し、少々失礼だったかと思ったのだが、ゾロは気にしたふうも無くしばらく考え込んでいるようだった。
「あのな・・・。」
「ああ・・・何?」
 やっと決心がついたのかジッと注がれる視線にサンジは柔らかな笑みをゾロへと向けた。
「男同士って気持ちいいのか?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はっ?」
 笑みの形に唇を吊り上げたまま、サンジはゾロの言った言葉を頭の中でゆっくりと繰り返す。
「はあああああ?!」
 間抜けな応えの後、数分の間をおいて雄叫びを上げた自分を誰が責めようかとサンジは目の前で眉間に皺を寄せたゾロをマジマジと見下ろした。
「テメェに好きだって言われて、最初はからかってやがんのかこのグルマユって思ってたんだが。」
「・・・・・・・。」
「テメェの態度を見てるとどうもマジなんじゃねえかって思いはじめて・・。」
「いや、俺はマジでゾロの事好き、なんだけど。」
「ああ、そう思って・・・、で、・・・も、もし、俺もテメェのことが好きだってことになったら、つ、付き合うとか。」
「す、好きだって言ってくれんの?ゾロ?」
「や、もしも、もしもの話だ!」
 ゾロのテンションにつられて同じようにテンションの上がったサンジがもう一歩ゾロとの距離を縮めようとして、その手に進行を止められる。
 顔を赤くしてもしもを繰り返すゾロに脈がないわけないだろうとサンジは鼻息荒く、足を進め、強引にゾロの座っている横へと割り込むようにして腰を下ろす。
「わ、ばか、待て、テメェ何しやがる!」
「なにって、ハグ?」
 ゾロの抵抗などなのその、よしとばかりに妙なハイテンションでサンジは勢いのままにゾロの腰に腕を回し距離を詰める。その間に腕を突っ張り、これ以上は近寄らせないとばかりに睨み付けるようなゾロにサンジはゴクリと唾を飲み込んだ。本気で怒っているわけではないゾロは可愛くてエロイだけで、それだけでサンジのあらぬ器官が暴走しそうな気分を味わう。
「だから、話を聞け!」
 パシリと胸を一つ叩かれて、キラリと光った瞳に折れてサンジは腰を抱き寄せようとしていた腕の力を抜く。すると安心したのか二人の間に突っ張らせていたゾロの腕からも力が抜けていく。
「で・・・・・、俺がテメェを好きだったら付き合うようになるだろう?」
「あー、うん、まあそうだな。」
「そうしたら、キスだけでいい・・って、事にはならねえよな?」
「もちろん!!」
 小さな伺うようなゾロの声にきっぱりと大声で返したサンジはジロリと間近で睨まれる。
「言っとくが俺は男とそういうことをしたことはねえ。」
「俺だってそうだ。」
 これも間髪いれず答えて、サンジはゾロを見つめ返す。
「だから、聞いたんだ・・・・。」
「・・・え?」
「ロビンにどうやってやんのかって。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・え?」
「男同士のセッ。」
「わああああ!!!」
 奇妙な叫び声をあげて咄嗟にゾロの腰から放した腕でその口を塞ぐ。ゼエハアと深呼吸を繰り返して、サンジは恐る恐るといったふうにこちらに向けられている瞳を覗き込んだ。
「誰に何を聞いたって?」
 パチパチと二度ほど瞬きしたゾロの眉が寄り、軽く頭を動かすことで口に当てていた手は外される。
「だから、ロビンに男同士ってどうやるのかって聞いた。アイツが一番物知りだからな。」
 ドーンといっそ見事なぐらいの男らしさで胸を張り答えてきたゾロにサンジはへなへなと椅子に崩れるようにしてテーブルに懐く。
 別にゾロとの事を隠すつもりはなかったのだが、すっかり相手にバレているというのは落ち着かない。
「そ、それで?」
「ああ、教えてくれた。絵入りの図解で。」
 徐々に赤く染まっていくゾロの顔を見ながら、それはきっとエではじまる本だったのだろうと心の中で溜め息をつく。
「それで・・・・分かったんだな?」
「ああ、分かった。・・・・・・・・・一応。」
 きっとロビンのことだ、絵を見せながら懇切丁寧に先生と生徒の如く、ゾロに男同士のあれこれを説明したのだろう。容易にその姿が頭に浮かんでサンジはハハハと力ない笑いを漏らす。
「ただ、いろいろ考えて見てたんだが・・・。」
「・・・ただ?」
「あんなことをテメェに出来・・。」
「ゾロ!!」
 がっしりとゾロの両肩を掴んで、サンジは真剣な眼差しでその顔を覗きこんだ。
「身体を重ねるだけが恋人じゃねえ!気持ちのほうが大切なんだ!」
 パチパチとサンジの剣幕に瞬きをするゾロにサンジはギュウッと肩に置く手に力をこめる。
「俺のことを好きになってくれればいい!後のことはまた後で考えよう!」
「あ・・・ああ。」
 サンジは内心冷たい汗を掻きながらゾロに話しかけた。此処で失敗してあれこれをゾロにする予定が自分がされてしまってははっきりいって困る。
「とりあえず、ゾロ、好きだ!」
「・・・ああ。」
 コクコクと目を丸くしたまま頷いたゾロにダラダラと嫌な汗を掻きながらサンジはにっこりと笑ってみせたのだった。

















「で、どうだったの?剣士さん。」
 みかんの木陰でのんびりと惰眠を貪っていたゾロの横で笑いを含んだ声がする。それにうっすらと目を開けるとゾロの寝転んでいる真下で海を眺めている黒髪にふわわあと大きな欠伸を零した。
「ああ、テメェの言った通りだったな。確かにアイツ、ぜんぜん手ぇ出してこねえ。」
「ふふっ、言ったとおりだったでしょ?」
 クスクスと楽しげに笑うロビンに共犯者の笑みを向けてゴロリとゾロは空に向かって大きく息を吐き出した。
「こっちだってかなり待ったんだ。もうしばらくアイツに我慢してもらっても悪くはねえだろう。」
「そうね。それがいいと私も思うわ。」
 ふわりと咲いたハナがゾロの髪を優しく優しく撫でていく。
 サンジが自覚するよりもっと前にゾロは自分の気持ちを自覚して、気付かないうちにサンジの態度に傷付いては、こうしてロビンの手に慰められてきた。苦しい恋だと諦めていたゾロを優しく見守ってくれていたロビンのことはサンジとは別の意味で好きなのだ。
『両思いだって分かったらきっとコックさんは止まらないわよ?』
 そう言ってロビンは告白されたと報告したゾロに悪戯っぽく笑った。
『少しだけでも、コックさんに悩んでもらいましょう。フフッ、きっとその方が剣士さんにとってもいい結果になると思うから。』
 それも面白そうだと、その提案に乗ってロビンに片棒を担いでもらったおかげで、なんだかサンジのゾロに対する扱いがとても向上している。つまりは女性陣とはまた違った意味で甘やかしてくるのだ。
「それで、どこまで・・・って聞いてもいいのかしら?」
 ふわふわと風に揺れるゾロの髪を撫でながらロビンは楽しげに問いかけてくる。それにクスリと笑ってゾロは髪を撫でる手に己の手を重ねた。
「手を握る・・・ぐらいだな。」
 ゾロが自分を好きかも知れないといった瞬間に押し倒そうとした男が、今ではそっと指を絡めてくるぐらいしか接触しようとはしない。本当は抱きしめてキスの一つもしたいようだが、ゾロがジッとサンジの顔を見つめると困ったように視線を逸らして重ねた手も解いてしまうのだ。
「残念そうね・・・。」
「んっー?そうでもねえ。」
 抱き合わなくても手が触れるだけで嬉しいと感じるのが楽しいのだ。
 それに手が触れた瞬間にふわりと微笑まれるあの顔がとても嬉しい。キスして、抱き合って、そんなことが当たり前になってしまったらきっとこの感動も薄れてしまうのだろう。それが勿体無いと思ってしまうのだ。
「・・・・まあ・・・・もうちょっとだけ・・な。」
 クスクスとゾロの言葉にやはり小さく笑って髪を撫で始めた柔らかい手にゾロはゆっくりと目を閉じて、眠りについたのだった。




~END~

------------------
ロビンちゃんと仲良しのゾロって好きです。
姉弟みたいな関係でw
 

注意:
特殊カプのその後というか、その設定がZSなので、SZ以外が駄目な人は読まないようにしてください。
※エ〇くはないですが、ちっすぐらいはしてます※
たぶん、ウチのSZで書いてもシチュ的にこんな感じありますけど、一応駄目な方は避けてください(汗
(EGOの小話になります。)




「アニキ!」
 唐突にサニー号に接近してきた海賊船を眺めていたゾロの口から嬉しそうな声が響き、その内容に臨戦態勢だったクルーたちは一応に驚いた顔をして動きを止めた。
「アニキ?」
「んん??アニキ?」
 星の刺青のある大きな腕を自分に向けたフランキーの問いかけに、その横で武器を構えていたウソップがフランキーを眺めながら首を傾げる。
「アニキ!いつこっちに来てたんだ!」
 徐々に近付いてくる海賊船に向かってやはり嬉しそうな声を上げたゾロに、ナミは手にしていた天候棒を降ろし、胸の前で両腕を組んだまま同じように困惑した表情のロビンへと顔を向けた。
「アニキって・・・フランキーじゃないわよねえ?」
「ええ、そうね、ナミちゃん。ゾロはフランキーの事をアニキと呼んだことはないもの。ウソップやチョッパーと違って。」
 美女二人が顔を見合わせて困ったように近付いてくる海賊船を見つめている頃、麦わら帽子を片手で押さえ、ワクワクと戦いの準備に心を躍らせていた船長が歩いてきたコックに向かって首を傾げた。
「エース・・・なわけねえよなあ。」
「そんなわけあるか。」
 指で煙草を挟みとりハア~と深く煙を吐き出したサンジはブンブンととうとう、近付く海賊船目掛けて片手を降り始めたゾロの姿に困惑を隠せない。目を輝かせ嬉しそうに笑う姿は歳相応というよりは遥かに子供っぽく幼く目に映る。それは普段のゾロの姿からとてもじゃないが想像できない姿でなんというか見てはいけないものを目にしているんじゃないだろうかとウロウロと視線を彷徨わせてしまう。
「ヨホホホ~。おや?皆さん、どうされました?」
 展望台にて敵船の接近を知らせたブルックは甲板に足をつけるなり妙な空気に包まれたクルーの様子にカクリと首を傾げた。麦わらの帆を上げたサニー号に接近してくる海賊船はこの船よりも遥かに大きいが、ただそれだけでこのクルー達が怯むところなど今まで一度だって見たことがない。
 海流に乗り走るサニーにぴったりと併走させ始めた海賊船の甲板には大勢の海賊たちの姿が見える。
「久しぶりだな、ゾロ。」
「アニキ!」
 ひらりと、風に乗るかのような軽やかさでサニー号に降り立った男にゾロが嬉しそうに駆け寄り抱きつく。その背をしっかりとした日に焼けた腕が抱き返し、その男は先程まで自分が乗っていた海賊船に向けて軽く手を上げた。
「わざわざ送ってもらって悪かったな。船長によろしく言っておいてくれ。」
「アニキ。用があったら俺らに声かけてくだせえ!」
「そうですぜ、海賊になるんだったらいつでも俺ら大歓迎ですから!」
「ああ・・考えておく。」
「絶対!絶対ですぜぇーーアニキィーー!」
 オーイオーイと甲板で涙を流しながら、徐々に遠ざかっていく海賊船に向かってもう一度だけ大きく手を振り返した男は目の前で揺れたピアスを宿した耳朶にチュッと小さな音を立てて口付ける。
「「あああああ!!」」
 途端に周囲で上がった絶叫混じりの男の悲鳴にゆっくりとその顔を向けた。
 緑の短い髪に翡翠のような瞳の色。ゾロとそっくりなその男は周囲を囲むクルーを見渡しニヤリと片頬を上げて見せたのだった。
「ウチの弟が世話になってる。」


「「「「おとうとぉ?!!」」」」


 キイィィ・・と、少し掠れた音がして甲板へと続く扉が開いた。
 戦闘に加わらず、医務室に篭っていたチョッパーが静かになった甲板へとその姿を現したのだ。
 ポチョポチョポチョと少し間抜けな音を立てて絶叫を上げて固まったクルーと、突然現れゾロの兄だと名乗った男と、その男に抱き着いているゾロの間をチョッパーが通り過ぎていく。
「あれ?ゾロが二人いるぞ?」
 きょとんと見上げて問いかけてきたチョッパーに、男はしばらく世話になると言って楽しげに笑ってみせたのだった。




~END~
-----------
Sさんのメモ描きに萌えたので(笑
双子Zも楽しそうだなあとw
 自然に目はそれは惹きつけられ、ゾロは逆らうことなくふらふらと足を進めその正面で立ち止まった。
「いらっしゃいませ~。」
 立ち止まったゾロを客だと判断した少女がにこやかに笑いかけてくる。それにしまったと思ったのもつかの間、やはり立ち去りがたく見つめてしまうそれにゾロは未練たらたらだった。
「綺麗でしょ?」
 にっこり笑いながら桶に突っ込まれている黄色を一本ゾロへと差し出してくる。それを戸惑いながらもつい受け取ってしまったゾロは惹き込まれる様に目の前の色の洪水へとかすかな溜め息を零した。
赤に黄色、オレンジにピンク。淡い色合いのものもあれば原色と言ってもいいような目に鮮やかな色を持つ花達が水を張った桶の中からゾロを見つめてくる。
「ガーベラって言うんだよ、お客さん。」
 商店街の中央にある噴水広場。その一角に花を入れた桶を置いて店を開いていた少女は熱心に眺めるゾロに楽しそうに教えてくれる。
 ガーベラという名前は知らなかったがこの花は旅の途中で何度か見かけたことがあった。
 ただ、その時はただの花だとしか認識していなかったこれを見た途端、ゾロの脳裏に浮かんだのは港に停泊中の船に残っているコックの姿だった。
 似合うだろうな・・と、ぼんやりとこの花を抱えて笑うコックの姿を想像してしまったのだ。
「誰かにプレゼントしたいの?」
 財布を取り出すでもなく、受け取った黄色のガーベラを手に熱心に花を見つめるゾロに少女が首を傾げて問いかけてくる。その質問にゾロは一瞬眉を寄せ、ハアッと深い溜め息を吐き出した。
 確かにこの花を持って嬉しそうに笑うコックを見てみたいとは思うが、花をプレゼントして相手が喜ぶかどうかは別物だ。怪訝な顔をして、とりあえず受け取ってやるという態度のコックが見たいわけではない。
「お金ないの?」
「ああ・・・。」
 少女の問いにゾロは苦笑混じりに先程受け取った黄色のガーベラをそっと少女に差し出す。
 船を降りたばかりで手持ちの金がまったくないというわけではなかったが、花を買うと予定外の出費になるのは分かりきったことだ。
 ただ、これを両手に抱えて嬉しそうに笑うコックが見たいというだけで・・・。








「・・・・これ・・・。」
「テメェにやる。・・・・・・・似合う・・・から。」
 両手一杯。赤に黄色にオレンジにピンク。綺麗な花びらを丸く開いて咲き誇る花束を出迎えた男に強引に押し付ける。晴れ渡った青空のような瞳が丸く開かれた。



「・・・・・・・・・・、ありがとう、ゾロ。」


 頬をかすかに赤く染め、嬉しげに花束を抱きしめて笑った恋人の姿にゾロは眩しげに目を細めて笑い返したのだった。




~END~

*******

『 好きって言ってみな 』 side ゾロ バージョン

10/7と10日 にメッセージをくださった貴方に(^^
メッセージとても嬉しかったです。ガーベラが好きという偶然にも感謝して、少々イチャイチャ度追加してみました。楽しんでいただければ嬉しいです(^^


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